ラストダンス with レッドカードの話。

多分、引退ロードというか、スター選手の現役引退へのそういった流れを「ラストダンス」って言ったのはマイケル・ジョーダンが引退する時*1が最初だったと思う。その時、ジョーダンはジャズとのNBAファイナル第6戦で最後に決定的なシュートを決めて、ブルズを2度目のスリーピート(3連覇)に導いたのを花道にシーズン終了後引退。今回、ワールドカップではジダンが引退を表明していたわけで、負ければ引退というフランスの戦いがジダンの「ラストダンス」と言われるようになっていて、自分もそこに何気なくジョーダンを重ねていたのかも知れない。
 アルゼンチンもドイツも敗れ、イタリアは予想通りに勝ち上がってきたんだけど、相手が予想したブラジルじゃなくてフランスとなって、さらにジダンの超絶テクニックに中田の引退も重なったんだと思うんだけど、ここまで来た時は勝ち負けというよりもきれいな決着―できればPKじゃなく―を僕は望んでいた。気持ちがそうなっていたんだ。予想的中とかそういう気持ちよりも。

 朝忙しかったのでほとんど試合は見なかった。昼休みに外に出たら、夕刊のタブロイド紙が「イタリア優勝 ジダン退場」を報じていて、ジダン退場って? 激しいプレーでもやって審判に厳しく取られたんだろうと思って、この鬼畜審判、とか思っていた。遅番の社員に「決勝戦見ました? ジダン何やったんですか?」って聞いたら「頭突き。マテラッツィの胸に頭めり込んでた」と。あ然。自分は信じられなくて「えー」とか言っていたら、「ジダンは結構荒れるとこあるから」と98年大会で相手選手を踏みつけて退場になった前科があることを教えてくれた。「今回のフランスの活躍はビエラががんばったからということにする。ジダンはいなかったことにする」とまで言った。フランスにかなり肩入れしていたようで、それが頭突きで壊されたことが、たまらなく腹立たしかったみたい。「これで『やりなおしたい』と引退撤回ってことにならないっすかね」と言ったら「しないでしょ」とバッサリ。

 一夜明けて今朝のスポーツ新聞は「イタリア優勝」よりも「ジダン退場」。ラストダンスの最後がレッドカードで終わってしまったのと、イタリアは優勝したのに、マテラッツイが何と言ったのかということに注目がいってしまうのが、どこかやりきれない。
 

*1:手元にある雑誌によると98年。