アパッチ砦の攻防より「戸惑いの日曜日」

(9月2日:池袋・サンシャイン劇場
下の日記にも書いたことだけど、直前までいつ行くか、というよりも行かないことも考えていました。
なんていうのか、現場に行くことが仕事のような感覚に思えてしまったんですよ。経済的な事情もあったんだけど、それ以上に精神的に参っているのかな、ということだったんでしょうね多分。以前はしばらく現場には行かないつもり、って書いたりもしましたけど、行きたくなったら行くそれでいいんじゃない、行っちゃいなよ。と今は思えます。大笑いするっていうのは心の健康に大いに役立つという新聞記事がありましたけど、なんかそういう気持ちになれました。
9月2日はとりあえずいっちゃえと池袋に向かって、会場に着いたのは開演10分前でしたが、当日券(6300円)は若干出ておりました。明らかに裕ちゃんの推しだと思える人は数人程度*1、年配の方もかなり多い会場でした。

それでは、以下ネタバレ防止のため隠します。


 三谷幸喜の作品として僕の中にいちばん強く残っているのは、「12人の優しい日本人」が映画化されたときの映画のほう。それが僕と三谷作品とのファーストコンタクトでした。その時も、陪審員室でほとんどのシーンが展開される、シチュエーションコメディだったのだけど、今回の芝居を見て、僕はそれを思い出したんです。
 そして、今回も同じように、舞台はあるマンションの一室。全部そこで話は展開します。
 裕ちゃんは幕が上がると、佐藤B作さんと一緒にソファに座っていました。
 裕ちゃんの役は「ちよみ」という娘です。結婚を目前に控えて、父親に婚約者を紹介しようという設定です。
 そこから始まった物語が最初? となったのが西郷輝彦さん演じる鴨田さんが帰宅してきてから。西郷さんは主人の威厳のある雰囲気を持っていたんですけど、B作さん演じる鏑木さんのごまかしに???となっていくという姿は面白かった。鏑木さんは前の住人、鴨田さんは今の住人だったというわけです。だから、例えば裕ちゃんのちよみと細川ふみえさん演じる鴨田さんの妻が向き合って同じ話をしていても、その話の背景が違うのがお客さんには見えるから、それが笑いになる。ネタとかギャグに走ることなく、台詞のやり取りで笑いを取る、そして最後までそれで押し切っていくというのは、三谷幸喜に限らず劇作家の方々の力というのはすごいと感じました。
 裕ちゃんの演技は至ってノーマルというか、可もなし不可もなしといった印象がしたのですが、考えてみれば嘘とごまかしにまみれたストーリーの中で、率直な性格が求められるような役柄だったのだから、これといった大技は必要とされないのかもしれない。だから素直に、十二分に笑いましたし、嫌な気分がふっ飛びました。


 もう一点書くならば、嘘というものをごまかすためには、さらに大きな嘘をつかなければならなくなる、ということ。ある種教訓めいてますよねこの点。作者にそのつもりはないんでしょうけど、どんどん嘘が膨らんでいって、色んな人巻き込んでいく所はなんか怖いです。

*1:ほとんどの人とは面識がないんですけど