かわるもの、かわらないもの。

 かわるものが、かわらないものが、そこにはありました。

 5日に行われた西武ドームでのももクロのライブは全国の映画館(北海道は一部のライブハウス)、そして香港と台湾でもライブビューイングとして中継されました。筆者はチケットを確保できたので映画館で見てきました。自分にとってはももクロがZになってから最初のライブ参加になります。といってもメンバー本人はスクリーンの向こうにいるのですが。
 とはいえ、映画館にいってみても、開演前に集まって盛り上がっているヲタがいるわけでもなく、ロビーには普通に映画を見に来た客がいて、現場感がまったくありません。でも、入場するとグッズのベースボールシャツがちらほら。よく見るとロゴがももクロだったりするシャツもちらほら。
 スクリーンの向こうで映る西武ドームはすごく暑そうでした。規模は大きくなって、今回のステージはセンターステージと花道が赤黄桃緑紫黒の6本、バックスクリーン前にサブステージという構成。仕掛けもいっぱいあって5色の花道にはクレーン、花道黒には動く歩道。メインのセンターステージはセリ上がりだけじゃなくて回転する。放水銃も多数用意。ゲスト登場は大きなやぐら。映像も趣向を凝らしたというか、おそらくケーブルを張って上空からのカメラによる場内の俯瞰撮影などは、こういう大会場のスケールを存分に見せつけるものだったと思います。

 吉田兄弟によるビートの効いた三味線を盛り込んだ「overture」から始まり、「ワニとシャンプー」で早速放水。映画館の中は自分も含め色T着用のヲタヲタしい人もいれば、グループで来た女子ヲタ、そして子連れの親が意外と多くて、子どもはZ女カチューシャを装着していたり、「あ、かなこー」と声をあげていました。モノノフ英才教育が進んでいる様子です。叫ぶことやサイリウムの使用は認められているので立っている人は多かった。でもちょっと落ち着くと座っちゃう人も多く、人それぞれな感じでした。
 自分は普段どおりというか、現場と同じように体でリズムを取りつつ腕を振っていたのですが、Zになってからの現場が圧倒的に不足しているので、まわりのコールや振りマネについていけないところもあって、そのあたりは経験値が足りなくなっているように思いました。
 メンバーは「ワニとシャンプー」の歌いだしで、杏果が感情が高ぶってうまく歌えないところはあったけど、おおむねよく歌えていたんじゃないかと思うし、あれだけの客を前に歌えること自体がすごいことだと思うんですよね。ただ、なんとなく、「いくぜっ!怪盗少女」に以前のような爆発的加速力を感じなくなった。それはセットリストのせいとか、現場じゃないからとか、いくつかの理由は挙げられるんだろうけど、はっきりとした言葉では言い切れない。
 「テレビ的だなぁ」と感じながら見ていたのが、「スターダストセレナーデ」。この曲では杏果が自転車に乗って、他の4人はトロッコに2人づつ乗って移動しました。画面は人に囲まれ、必死の表情で歌いながら自転車をこぐ杏果を映していました。24時間テレビのマラソンみたいでした。そういった画面を見ていると、現場もテレビ的になっていくんだなってことを思ってしまって、ちょっとセンチメンタルな気持ちにもなってしまうのです。

 でも、最後の1曲「あの空に向かって」で、やわらかな風にきらきらと紙吹雪が舞っていた時、こんなにライブが大きくなっても、彼女たちは変わっていないんだ。そんなことが思い浮かびました。
 こうして今回も胸いっぱいの思いを残してライブは終わりました。
 そして中継が終わり、客はあっという間に散っていきました。映画館の周辺にもイベントの名残のようなものはなく、日曜夜のショッピングモールの風景がありました。
 グッズを広げて写真を撮っている女子がいました。すると自分に気づいたようで、お互いファンだと気づいたのか「お疲れさまです」と笑いあって挨拶。いい瞬間でした。

ありがとうのかわりに 私を見ていてね
言葉では伝えきれない だからこそがんばれるよ
忘れない 涙した日々だって こんなにも私らしい
言葉では伝えきれない だからこそがんばれるよ*1

 最後って、こんな気持ちだったのかなということを考えながら帰宅して、すこしばかり興奮のままツイッターでファンと語り合っていたら、こんな気持ちがこみ上げてきました。
 やっぱり、現場行きたい。

*1:歌詞はKOKIA「かわらないこと-since1976-」より。