ダ・ヴィンチの朝井リョウ特集を読みました。の話

 朝井リョウの『武道館』の発売を受けて、雑誌「ダ・ヴィンチ」の特集が組まれ、乃木坂メンの感想だったり、どこも「選択」という言葉が出てきました。人生は選択の積み重ね。そしてアイドルであるが故に、普段当たり前のことが許されなかったりすること、それを心配してしまう自分があるということ。そこはいかにも現役のアイドルらしいかと思ったのです。
 が、それ以上に引っかかったのが、作者と高橋みなみの対談があったのですが、対談の中でたかみなが言った「だからメンバーはどこかで女の子のファンを増やしたいと思っている。自分の考えに近い人たちを増やしていかないと自分が崩れていく」でした。これは握手会の話題の中で「『接触してほしい』とか『アイドルは恋愛禁止』という価値観は、例えば10年後に変わっていったりするでしょうか」という問いに「理想としては変わってほしいけど、変わらないかもしれない。引き継いでいくものだと思う」に続いて出てきた言葉で、それを感じる例として女子のファンは「結婚しなよたかみなー」とかも言ってくれる、男性でも年配のファンは「孫の結婚はどんなもんかねー」とか応援してくれますけど、同世代の男性ファンは「結婚したらヘコむわー」っていわれるのだそうです。
 自分は握手会で結婚を話題にしたことはありませんけど、そういうことを言う人もいるんだなってことが最初の感想でした。でも、やっぱり引っかかるのは、たかみなのように経験値のあるメンバーでも、いやそうだからこそ、「人としての幸福」と「アイドルとしての成功」を両立させることを考えるのだろうということでした。
 「選択」についても、たかみなの経験談として、AKBでサプライズがあった時、彼女は何かしらのコメントを出さなければならない立場にあるわけで、でもどう答えたら正解かなんてわからない、だからできるだけポジティブな言葉を発して、現実がそこに近づくようにしようとするのだといいます。先日のイベントでは『武道館』に影響されて、「その選択を正解にしていくしかない」と言ったのだそうです。
 男性と違って、女性のアイドルで恋をして結婚して、それでもアイドルとして活躍する例というのは皆無に近い。だから、アイドルでいられる時間も長くない、ということも経験上知ってしまっている。
 彼女も、もうすぐ10年選手になって、そしてAKBを去るわけです。それでも「SMAPさんみたいになりたいね」と初期メンバーで語り合ったことを明かし、初期メンバーはあと2人だし、わたしはそうはなれなかった。とそれを残念がる。これだけの長い間第一線で活動をしていくと、ある種「人の幸福」と「アイドルとしての成功」を一緒に考える、そんな境地に達するのかもしれない。そんなことを考えました。