棚がワールドカップで埋まるなかで。

もうすぐワールドカップが開幕するわけで、仕事場のスポーツ雑誌の棚はサッカーで埋め尽くされております。タイトルが「ワールドサッカーなんとか」という雑誌は今現在4誌発行されていて、そこに他の雑誌の別冊・増刊号、さらに欧州各リーグの総集編などが重なっていくので、すごいことになっています。

 そんな中で、今日は関連書籍を1冊購入しました。それがこれです。

世界の作家32人によるワールドカップ教室

世界の作家32人によるワールドカップ教室

 
 出場32カ国の素顔を、英語圏の書き手を中心に書いてもらい、それを1冊の書籍に編集するというものだけど、日本の所を立ち読みしただけですごく面白かったので買うに至った。2940円は若干高かったが、その分は元が取れるかもしれない。
 
 「日本」はこう進んでいく。
 現代日本の文化は海外からの文化をつまみ取って和風に味付けする。その文化的サンプリングが日本サッカーを面白くしている、という所から始まって、「サポーターは世界中のファンの応援を研究しているに違いない」
 「声援と応援歌は笑っちゃうくらい国際的だ」とやってこう締める。

ジャンプして沸き立つ熱狂的なファンたちはリヴァプールのアンセム「You'll never walk alone」を歌い、スペイン語圏チーム風に「カンピオーネカンピオーネ! オレ、オレ、オレ!」と叫び、古典的な日本の声援を「ガン・バッ・テ!」とおくるのだ。

 当てはまる所があるだけに、読んで笑いを隠せなかった。でも、日本を馬鹿にしたものではない感情が感じられ、怒りのようなものは起きなかった。
 
 僕はまだ、この本は日本とドイツの部分しか読んでいなくて、後30カ国はこれから読むことにしているのだが、ドイツの所には、この国がかつて「壁」によって東と西に分断されていたことを思い起こさせる記述がある。それが崩壊して、西と東が統一されてもまだ筆者の心に残っていた、サッカーにおける「壁」が2002年大会において崩れていった、その経緯には一つのドラマがある。僕はそれだけでも十分に元が取れた様な気分になれたのだ。
 まだあと30カ国も残っている。でもどんな世界があるのだろう、そういった期待感のようなものを感じながら読んでいこうと思うのだ。