堂本光一ソロライブに行ってきたよ、の話。

ハロヲタのお前が何かの冗談だろ、って思った方もいるかもしれませんが冗談でもなんでもありません。

karinさんのお誘いで、10月27日に横浜アリーナで行なわれたソロライブに参加してきました。彼女とは現地で合流しました。なので席に着いたところで合流。そこで出た言葉が、「俺、ホントにこんな所で見ちゃっていいんですかね?」。何せ行ってみたら、センター席の前の方でポジションもちょうど中央でした。周りは本当に女子ばっかりでした。というか男の姿が見当たりませんでした。客席の大半が女性の現場というと、裕ちゃん(中澤裕子)が「元気ダッシュ」の司会をしていた頃に経験があります。収録はNHK大阪ホールで行なわれたのですが、レギュラーの中にLeadや人気の若手芸人*1がいました。それで客席の大半は女でした。本番が始まって登場すると会場の大半を占める彼らのファンが、「キャー!」という声を一斉に発しました。それが耳が痛くなりそうな声で正直参った。今回は収容人数が5倍になるわけで、その「キャー!」も約5倍になるかと思うと。例えば大晦日にテレビ中継がありますよね、あれはジャニーズ総登場みたいな感じですけど、みんなして「キャー!」という声を上げているように見えるんですよ。もしかして僕は始終「キャー!」の洗礼を受けるのでは、と。そしてまた彼女が「キャーって言う声がすごいかもしれませんけど気をつけてくださいね」とビビらせることを言うんですよ。現場行っている方は失笑するかもしれませんけど、それが僕の中のイメージだったわけです。
 ステージは六角型の大きなスクリーンみたいなのが中央に組んであって、あああれがビジョンだなと。で、その六角形が左右にもあって、これもそうなのかなと。宝塚みたいな大階段もあって、やっぱり大きいなぁ、と。でも、特別何か仕掛けがあるようには見えませんでした。
 少なくとも開演前は。

 客電が落ちて「キャー!」が来るのではなく、いきなり「ドーン」と音が来た。その音のせいか「キャー!」は思ったほどではなく(会場が大きいせいでしょうね、多分)、ステージセットにジャングルというか遺跡というか、そんなイメージの映像。でも、それはビジョンじゃなくてライトで映し出していて、舞台の前には火炎放射の炎がボッ、ボッと。熱が伝わってくる。そうしたらダンサーがたくさん出てきて、そして横から松明を持った男が登場。karinさんが「あれがXXXですよ」と教えてくれた。が、XXXが聞き取れなくて、僕はそれが光一くんなのかと思った。でもそれは多分間違いで、最後のすごい光とゴーッという火柱に目がくらんでいるうちに光一くんは真ん中にいた。
 ノースリーブの衣装、二の腕に黒い腕輪。ああ、彼だ。つい先日「新堂本兄弟」での彼ではない彼が、正面にいる! で、1曲目は「Deep in your heart」。どういう動きしていたのか、ってことが出てこない。後のダンサーとタイミング合わせて踊っていたようなイメージはあるんだけど、細かく出てきません(すいません)。
 実を言うとほとんどの曲は知りません(すいません)。僕の中で記憶と曲が一致したのはこの曲と「+MILLION but -LOVE」だけ。要は芸能ニュースと歌番組のレベルで。2曲目で花道に走るとその方向のスタンドの客が盛り上がる。手に持ったペンライトを大きく振っていた。ペンライトはハロ推しがよく使うサイリウムではなく、オフィシャルグッズの電池式のもので、色は赤・青・緑。途中で止まるとリフトが上昇した。彼のファンにとっては別にどうってことないのかもしれない。けれど、僕はそれだけで大技を見ているようで一人で「おお」と感動していた。

 3曲目おわって最初のMC。するとあのテレビの口調がした。今回はアルバムリリースを受けての2年ぶりのソロライブなのだそうだ。彼はステージの上を右へ左へとウロウロ歩きながらしゃべる。「幅広い年齢層の方が来て下さって、若い人もそうでない人も(中略)、男性の方も来て下さって・・・・・・」といった時に事は起きた。
 客席から「光ちゃーん!」と男の声が飛んだのだ。場内からおお!と声がした。タイミングよく光一くんが「ちょっと男性の方だけで『光一!』と叫んでください」と言った途端、右側にいたkarinさんだけではなく、左側の客、前の席の客まで一斉に僕の方を見た。ビクッとした。「せーの」の声に合わせて「光一!」と叫んだ。結構いろんな声がした。僕は少しだけ安心した。すると横からkarinさんが「ありがとうございます」と言った。前の席の客も僕に「ありがとうございます」と言ってきた。意外だった。今まで現場で周りの客から感謝されたことなど、ほとんどなかったのに。karinさんの話によると、光一くんは男がコンサート会場に来ると喜ぶのだそうだ。だから彼が喜んでくれるのが、ファンはうれしいのだ、と。
 彼のMCは長い。客の反応を拾うので長くなる。裕ちゃん*2のMCも同じように長い。でも、光一くんはもっと長かった。いつもそうなのだそうだ。多分10分くらいやったような気がした。
「今回は飛びません。だから今回はシンプルに思えるかもしれない」と彼は言った。

 客席のファンは思っていたよりもおとなしいんだな、と感じた。大きなうちわを持っている客はいなかった。ペンライトも頭上ではなく胸の前で振る感じ。ステージ上のパフォーマンスは振りまねできるような簡単なものではないので当然しない。つまり胸の前でペンライトを振ってリズムを取る感じで、ステージ上の光一くんを見ている人が多かった感じがする。自分の場合ひざとか首とか動かしてリズムを取ったりするし、要は縦乗りという訳なんだけど、そういう人は少なかった。曲が終わると大きな拍手が起きる。でも、そこで「光ちゃーん!」と叫んだりする人がいないわけじゃないけれど、その数は意外と少ない。一緒になって*3大騒ぎというハロ系の現場とは大きく違う。例えば「狂ってしまいたい」というような危険な情熱はない。でも決して冷めているわけではない。karinさんはそれを「母親のように見守っていたくなるから」と表現した*4。実際に拳を振り上げたりするような場面は最後に出てくるんだけど、それ以外はそういう曲じゃないからあまりやらないんだろうと思った。
 ステージ上では光一くんがずっと一人でいるというわけではなくて、ダンサーの人がたくさんいるように見えた。でも、数えてみると、まず光一くん。一緒に回っているMAというユニットが4人。女性ダンサーが8人。実際に踊っているのは13人ということになる。このダンサーの動きが実に緻密に感じたのが、鏡を使った演出だった。それはステージの上にダンサーが姿見のような大きな鏡を持って登場し、三面鏡のような角度をつけて彼を囲んだり離れたりするというもので、多分、角度のある位置から見ると面白い見え方をしたんじゃないだろうかと思う。残念ながら僕の席は正面だったせいかそういった効果がうまく伝わらなかった。だが、その鏡を持ったダンサーが実にぴたっと動くのだ。微調整すらない感じだった。多分、この動きを合わせるのに、相当細かい打ち合わせをしたに違いない。そしてそのダンサーは鏡を持っているだけではなく、鏡の後ろで踊っている。そしてタイミングよく動くのである。それ以外にも、とにかくやることが細かい。中盤のMCの時のこと。光一くんは手にマイクを持ち、首にヘッドセットをかけていた。そして、またウロウロウロウロと歩き回りながらしゃべるのだが、途中でステージの床が小さくカパッと開いたのでそこに持ちマイクを入れた。そしてヘッドセットをつけて次の曲に移ったのだが、僕はそこを見て、マイクを置いた台がエレベーターみたいに下がっていくのが想像できて、それが面白かった。もしかしたら、カパッの下にはスタッフがいて、ただそこで「ハイ」と手渡ししているだけなのかもしれないけど、ただそれだけのためにカパッを設置するというのが新鮮だった。 ただそれだけのために、というのであれば、そういった芸の細かさだけではなく、尋常じゃない事を実はやっていた。「spica」という曲をやった時のこと。言うまでもなくタイトルは星の名前。その時彼が何をやったというと、場内一面に星空を作り出したのである。最初に見たときはビックリした。後ろを振り向いたらアリーナの天井一面に星が瞬いている。これはどういうことかというと、天井に無数のLED(青と白)をつけたケーブルを張り巡らしてこの曲の時だけ点灯したのである。想像してみよう。横アリの前から後まで、天井一面にケーブルを張り巡らせる作業を。1曲のためにそこまでやっちゃうのかと。とにかく表現というのものに妥協しないというのがよくわかる。

 ここまで演出面の事を多く書いてきたけど、MCの時間になるとテレビのイメージに近くなる。MAの4人とのトークタイム(というか長いMC)になると、いかがわしいオフショットを披露したり、客のツッコミに「うっさいわ!」とか客いじりしたりとか。事前情報だと客に振り付けをするという場面があって、そこでヲタ芸*5をやらせたらしい。狼にそういうスレがあって、僕はこの場所でもやるんじゃないかと思って、それが怖かった。普段打たない俺が、よりにもよってこの場所で打たねばならないのかと。karinさんは「プロフェッショナルなヲタ芸が見れますよ」と笑っていた。実際には別の振りを「ふん!ふん!」とやったので安心した。ホテルではF1中継を見たり(彼はフェラーリが好きなのか、フェラーリの帽子をかぶったファンが数人いた)朝まで大貧民したりするそうだ。それでビリになったMAの秋山くんに罰ゲームでストッキングをかぶって踊れと指令。すると後の出番の時に彼はストッキングをかぶって力いっぱい踊っていた。MAに続いて登場した女性ダンサーの先頭の人が彼を見て笑ったのを僕は見逃さなかったが、そういう情況でも力いっぱい踊る彼は素晴らしいと思った。
 よく芸能ニュースでクレーンの先のゴンドラに乗って歌ったりとかするのを見ますが、今回は後のお客さんの近くに行く手段はサイドの花道の先に手すりのついた台車の大きなものがあって、それに乗って歌いながら場内一周。何で動いていたのかよく見えなかったのだが、反対側の花道に到着するとスタッフが引いて下がっていたので人力かもしれない。karinさんに言わせると「あれは人力です。以前は吊り輪につかまってアリーナの後からフライングしてきたことがあるんですけど、それも人力でやった*6んですよ。彼はスタッフを本当に信頼しているのです」と。
 ある曲で彼が小道具に棒を持って踊ったら、それは剣を持って舞っているように見えた。最上段に上がってバンドと一緒にギターを弾いたかと思えば、最終盤には剣道着のような衣装に長い羽織のようなものを着て、小道具に和傘とかを使い、ダンサーと一体となったスケールの大きな曲(「下弦の月」か?)を披露する。ここに至っては、ほとんど別のものを見ているようで、僕はほとんど放心状態で見つめていた。

 そうして終わった2時間半。凄いの見ちゃったな、と圧倒された感じで帰路についた。
 大階段に仕込んだ映像装置などのセットや演出も、これで「シンプル」なのかと言いたくなるようなものだが、よくよく考えれば電飾もリフトもどこかの現場で一度は見たことがあるものではなかったか。大きな台車で場内一周とかはないが、それ以外にも、とにかく一つ一つの曲で表現がすごく多彩なのだ。「魅せる」ということに対して、1曲1曲、彼は細かい所まできっちり詰めているように思う。karinさんは「一つ一つのものに色々な魅せ方を見せてくれる、それが堂本光一の魅力。そしてファンはもっとすごいのを見たいと彼に求め、彼はそれに応えてくれる」と力説した。そうなのかと。
 自分はこういう場に行くことはそう何度もあるものではないだろう。でも、それだけ僕はこの機会は貴重だったと思っている。多分これから別の現場に行ったときに、ステージの見方が変わってくるかもしれない。この日には、それだけのものがあったのだ。

*1:キングコングとか

*2:念のため書きますが中澤裕子です。

*3:一部はメンバーお構いなしで

*4:彼女は光一くんより年下である

*5:石川梨華ちゃんがゲストだった時の新堂本兄弟でやったやつ。OADという

*6:スタッフが滑車のロープを引いていたということらしい