「ライブドラマ2007 東京等身大2〜生きづらい女たち」の話。

 裕ちゃんの出演の必要性とか、前作から中1日でどうやって稽古をするのかという諸々の?があった舞台「ライブドラマ2007 東京等身大2〜生きづらい女たち」ですが、無事終演いたしました。僕は29・30日と見る事ができました。29日は一番前の一番左、スピーカーに邪魔されながら見る形になりましたが、最終日は右サイドのせり出しから2列目という場所で、自分の回りに裕ちゃん推しの方が集結するという状況の中で、3メートルくらいかな、そんな至近距離で裕ちゃんを見る事ができました。

 今回の舞台ですが、僕の事前の予想は声優さんのイベントで行われている、朗読劇に近いようなものを想像していました。出演者の中に南里侑香さんとかボンブラMAKOさんとかの声優経験者が数名いるということで、そう考えました。では、それに裕ちゃんが絡む必要ががあるのか、ということで思いついたのが、最近の裕ちゃんの仕事で時々目にする「語り」の仕事です。ライブでも朗読とかやっていますし、「ソング&モノローグ」とか、そういう「語る」仕事、それがいまの裕ちゃんの仕事に目立っています。そうであるならば、こういった場で場数を踏むということは悪いことではない、それとスペースクラフト側の求めるものが一致した、そう考えていました。
 いざ開演してみると、裕ちゃんの役柄というものは「ナレーション・歌/中澤裕子」ということになると思います(最後に本人役でちょっとだけ演技したけど)。そこで歌った曲が開演直後の「DO MY BEST」、中間の「東京美人」、終盤の「GET ALONG WITH YOU」という3曲でした。裕ちゃんの歌は必要性を疑問視する人が見受けられます。歌が必要だったのかどうかは正直言うと僕も微妙に思います。ただ選曲は間違っていないし、出演は必要だったと僕は考えます。ナレーションも数あるわけではありませんが、例えば主に出ている3人、水谷妃里(サリナ)・南里侑香(エリ)・尾上綾華(マリ)がナレーションをすると、「あの頃私はこうだった・・・」という話になって現在の物語にはならないように思います。だから誰か役とは別の人が語り部になる必要があった。このメンバーから見ると裕ちゃんはある種、都市のキャリアガールの雰囲気があり、全体を俯瞰する役割を担える。歌はともかく、そういう人が必要だったということではないでしょうか。出演は必要だったと書くのはそのためです。

 器用に生きられない、という主演3人ですけど、それでも舞台らしく楽しいものでした。サリナは仕事とエコロジストの活動に熱をあげて彼氏を放置し別の女に奪われる、ユリはワケありの恋の末、子どもが出来た挙句結婚できないと言われてシングルマザーになる決心をする、マリは男を取っかえひっかえして男の彼女に恨まれる、という三者三様の「生きずらさ」を抱えていますけど、でもコミカルな芝居振りが、暗さを取り払うように舞台に明るさを与えています。だから見ていてとても楽しい。結果としてサリナの彼・良太郎(大垣知哉)を奪った、おっとり素直なショウコ(山口美沙)とのやりとりも面白いですね。
 結局サリナは良太郎に最後まで「好き」という気持ちを伝えられないまま、物語はショウコと良太郎が結婚して終わるんですけど、なぜ最後まで素直になれなかったんだろうという気持ちは今もします。物事に対する責任感が強いゆえに視野が狭いのか、感情表現が下手なのか。自分がしっかりしなきゃ、と思う思いが強いゆえに自分の弱さを見せるのが嫌だったのか。自分にも感情表現が下手というか、自分がしっかりしなければという思いで、物事を抱え込んでしまうというところがあると思うし、「変わりたいでも変われない」という葛藤は男も女もそれほど変わるものではないのかな、という感じはします。サリナは物語の最後にショウコを励まして、彼女がいなくなってから大泣きしてショウコと良太郎との結婚を祝うという決心をする、というラストシーンでやっと一歩前へ進めるようになる。そしてエンディングとして裕ちゃんが歌うのが「GET ALONG WITH YOU」という流れは一種の感慨、これは後日書きますが、そういうものを思いました。

 印象に残った出演者について書きます。
 サリナ役の水谷さんは「チルソクの夏」のノベライズを店で売っていたので高校生のイメージが強くて、そんな彼女がネイルサロン店長26歳っていうのは正直意外。それでも、しっかりキャリアウーマンしている。あの3人の中で一番年上の雰囲気出していたんだけど、実際は一番年下の20歳。最後の挨拶がうまくできずに裕ちゃんに振っていたのは初々しかったけど、たいした女優さんだよ驚いた! 個人的に注目していたのが、エリ役の南里侑香さん。会場にファンの方も結構いましたし、ファンからのお花も贈られていました。声優にしてFictionJunction YUUKAのヴォーカル、元・南青山少女歌劇団という経歴は個人的に惹かれるポイントがいくつもあります。はい、南少知ってます、彼女の入団前ですけど*1。しっかり者でズバズバものを言う、けれどもかわいげのあるという役です。「妹キャラ」じゃないんでしょうけど、周りが背が高いのか、彼女が低いのか、ともあれ小さく見えたのもあって、歌のイメージとは違ってかわいげが見えました。もうひとり名前を知っていたのがボンブラMako。過去に裕ちゃんと絡んだこともある子ですが、今回は霊感の強いバーの店員としてメイド・ナース・忍者・婦警のコスプレで登場。以前もぶっ飛んだキャラでしたけど、相変わらず凄いからすぐわかりました。「ガン見女」を演じた田岡由衣さん。マリに男を奪われて恨みを持つOLという役柄ですけど、視線や表情の強さがあるように思います。今改めてプロフィールを見ると1991年生まれってことは、佐紀ちゃんと一緒! ベリキュー世代だとは思わなかった。
 
 そういう知名度はなくても多士済々の面々で行われた今回の舞台ですけど、純粋に舞台としても楽しめるものでした。多分、裕ちゃんが絡まなければ見に行くことはなかったと思いますけど、この舞台を見れたことは僕にとっても良かったことだと思います。
考えることもいろいろありました。映像作品にはならないでしょうけど、出演者の皆さんの今後の活躍を見守りたい気持ちがしています。

*1:ちなみに今キャナァーリ倶楽部が歌っている「SWEET&TOUGHNESS」や「夢を信じて」は南少の曲