有川浩「阪急電車」の話。
- 作者: 有川浩
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2008/01
- メディア: 単行本
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自分が買ったきっかけは、もちろん「阪急電車」だったからです。といっても、この物語にはマルーンの車両がどうだとか、そういう鉄ヲタが喜びそうな話は一切出てきません。
舞台が片道わずか15分の今津線という路線。そのそれぞれの駅のエピソードが線路の如くつながっていく、という構成がまず面白い。本編には出てきませんけど「人はどこかでつながっている」というフレーズは、前々から僕が気に入っているもののひとつです。この物語には本当にその言葉が似合います。片道15分の電車の中で、ある人は恋が始まり、ある人は別れを決心し、ある人は傷つき、ある人は思わぬ人に助けられたりする。そういった、さまざまな人生模様がさりげなくリンクする。そういった感覚がこの小説にはあります。だからですか、帯に書かれた「電車は、人数分の人生を乗せて、どこまでもは続かない線路を走っていく――」という言葉のように、世間は広いようで意外に狭く、狭いようでやっぱり広い、という実感が再認識させられる一冊だったと思います。
代わりばえのないような毎日であっても、この人生劇場の中においては毎日がドラマチックです。
少ししたら、真っ白な気持ちに戻ってデザインを白に戻そうと思います。
ではまた。