青春の終わりに。

 3月3日。Berryz工房のラストライブは最前列の真ん中で。残念ながら映画館だったので腰と首が痛かったのが実情ですが。結局そうなったのも、前日までにいろんなことがありまして。特にそれは精神的なものが大きいのですが、出ていたLVの当日券で行ったおかげでかなり楽になったことは確か。
 
 開演前には武道館にも寄りました。
 たくさんの人が並んでましたが、女子のファンもすごく増えた気が。そういう人が胸に大きく「夏焼」と書かれた紫のTシャツを着ていたり、ファンの人が作った缶バッジを付けていたら「これってどちらで配ってました?」って女子から聞かれたり。もしかして℃-uteの現場だったらもっとすごい事になっていたのかもしれない。そういうのを目のあたりにすると「アイドル10年やっちまったんだよ」の間に状況の変化というようなものも感じないではいられない。
 開演前にお会いした方とも話した。昔知った顔の人は見かけないそうだ。
 昔の現場では開演前に「しーみずさきさぁーん!」とか「りさこぉーーーっ!」「みやびぃーーーっ!」とロングトーンで叫ぶ人が必ずいて、それがベリコンに漂うちょっとあぶない空気を作っていたようにも思う。その人も今日来ているのだろうか。なぜかベリが大人気だというタイの人とかも来ているのだろうか。そんなことを話した。

 中継会場の渋谷の映画館に移動すると、もう中継が始まっていて、そこで登場したのがこぶしファクトリーカントリーガールズ。これが噂のうたちゃんか。ヤバイ。でも自分の印象に残ったのは山木さん。最後にJuice=Juiceが登場して2曲。かなともがなんか昭和のアイドル風味な顔になっていて、きっとこれから年上のファンが増えるんだろうな。
 
 スクリーンから伝わる場内のの様子は、「りさこぉーーーーーー」も「しみずさきさーん」も聞こえなかったけど、でも、おとなしめであっても叫ぶ声は聞こえてきて。最後って感じの悲壮感のようなものはあまりなかった。
 スクリーンでは開演前のアナウンスが流れて、そして沸き起こる「ベリーズいくべ」の大合唱。でも、映画館の中は実に落ち着いている状態で、ペンライトは準備していても叫ぶ様子はまったくなし。
 1曲目が「スッペシャルジェネレーション」。いきなりクライマックスのような盛り上がり。「ROCKエロティック」のかっこよさは男装なしでもはまる。メンバー紹介映像からの曲が3曲目の「愛のスキスキ指数上昇中」から「付きあってるのに片思い」で、おおっとちょっと懐かしい気持ちになって。ちょうどこの頃っていうのが一番ベリに熱入れてた時だったと思う。
 「21時までのシンデレラ」からの「ロマンスを語って」の切なさ攻撃に思わず目から一筋の水が頬を伝った。今回はシンデレラがコンセプトになったような所は多くて、城を模したセットとか衣装とかもそうだし、最近「シンデレラガールズ」を見てるせいか時計を意識してしまうところもあった。BRAKSの記事によれば終演の時間は21時23分だったという。つまり開演が20分遅れなければ、終演は21時ちょうどになって、21時に11年間の魔法は解けたことになる。そこまで考えていたんだろうか。
 中間の振り返り映像で舞波の卒業が映った時に歓声が。そこから出てきたのがサル。マイクにバナナもついてた。「行け行けモンキーダンス」。1曲はさんで「cha cha sing」。ここでこれ入れちゃうんだ、ってくらいの攻めっぷりだったかもしれない。
 とにかく、最近の曲から昔の曲までバランスよく取り入れたから、あーこんなことあったなぁとか、とにかくいろいろなことを思い出した。
 アンコールからの流れは、本当に切なかった。茉麻の「あの時に戻ってももう一度この道を選ぶ」とか佐紀ちゃんの「Berryz工房は永久に不滅です」とか。「永久の歌」で明るく終わると思っていたから、ダブルアンコールの「Love Together!」がピアノ伴奏のみのしっとりとした終わり方になったのは意外に思った。
 でも、それも悪くなかったのかもしれない。

 今回のライブ後で行った人も行かなかった人も多く発していた言葉に「青春」があった。
 彼女たちと一緒に生きた。もしかしたら同じようになっていたかもしれない11年という時を生きた人たち。
 その物語を託した彼女たちの青春が終わる。それは彼女たちを見てきた自分たちの青春のおわりを確かめることでもあったのかもしれない。
 多分、渋谷の映画館の客が、終演後の「Berryz最高!」も叫ばず、まわりの人と語ることもせずに、みな無言でスクリーンの前から去って行ったのは、活動停止が悲しかったのではなく、自分たちの何かに区切りをつける、その時間が、少しだけ欲しかったんだと思う。