「ラブライブ! The School Idol Movie」を見てきました。の話

 自分はアニメから入った形になるのですが、テレビシリーズは受信状態の都合で見ないで終わり。配信もめんどくさがって途中でやめて。結局今年に入ってからDVDをまとめて借りてみました。電撃G'sマガジンも買わなければ、スクフェスもやらず仕舞いという、まさに上澄みだけすくっているっていう状態なのです。でも、アニメ好き、アイドル好きならば、あらゆるところで話題になるし、これだけ話題になると見ておきたいなって思うのは普通のことだと思うんですよね。
 
 ということで僕が行ったのは6月30日なんですが、この日は「ラブライブ!」のプロジェクトが始まった日なんだそうです。偶然そんな日に映画館に行ったんですけど、平日のお昼過ぎという時間帯にしては、池袋の映画館では大きなスクリーンの半分以上入った感じです。派手なイラストTにジャージ姿というすごい格好のファンがいたのですが、カップルとか女子学生の姿も多かったです。
 で、映画泥棒とか予告編とかに混じって、Kis-My-Ft2のニューアルバムのCMが流れたんですけど、宮田くんという有名ラブライバーがいるのをいいことに、しっかりと宣伝を入れるジャニーズの抜け目なさに驚きつつ苦笑いしたのは、事実です。
 
 
 (以下、ネタバレありです。)
予告編です。

 
 
 
 
 
 
 
 
 ラブライブ!について、興味を持った最初に思ったことは、「アイマスとどう違うの?」という単純な疑問でした。それに対する先達のファンの答えもまた単純で「アイマスはプロ、ラブライブは部活」。で、この劇場版を見た感想でいうと、自分はアイドルものというよりも「部活もの」として見ていたんだなって思いました。そして、劇場版は「終わり」というか「決着」をものをすごく意識させる物語だと思いました。
 
 2期でラブライブ優勝という結果を出したら、海外からお声がかかってμ'sが世界へ飛び出すっていうのが予告編でのイメージだったんだけど、それは結局前振りで、3年生の卒業をもって本当にμ'sを終わりにしてしまうのか、という「選択」を迫られる、というのが本筋で、それをミュージカルに仕立てたアニメというのが一番近い感想です。
 最近、朝井リョウの『武道館』の影響でアイドルにおいては「選択」がすごく重要なテーマのように感じているのですが、それはこのアニメの中でも重要なワードになっていて。この中だと「μ'sを続けるのか続けないのか」というのが「選択」になります。それを迫るための舞台装置をオーバーに描いたところ、要は海外に行ってライブやったらネット中継が拡散されて大人気、そこでラブライブ終了後に活動停止すると決めていたメンバーに、周囲は活動継続を求める。イベントとしてのラブライブはドーム開催という規模拡大を目指すことになり、前回大会の優勝者であるμ'sは協力という名の活動継続を求められる。そんな、自分たちは変わらないのに状況が変わっていく中で出した結論は、秋葉原の街を巻き込んだスクールアイドルによる大路上ライブを行うというもの。そこで活動停止をアナウンスして活動に終止符を打つ。というものでした。
 そしてエピローグとして、雪穂と亜里沙によってアイドル研究部の新入生に語られるμ'sの「最後のステージ」が流れるんだけど、それはいつどこでやったのか、そういうところは明示させずに、花柄のステージで、メンバーの名前を歌詞に織り込んだ歌を歌ってエンディングを迎える。結局のところ、どこまでがリアルでどこまでが虚構なのか、それさえもはっきりしない状態だから、混乱が起きることは仕方ないのかもしれない。もしかしたら最初から、音ノ木坂学院が廃校になるところから二人の語りだったて言っても筋は通るように思えてしまうのです。

 あとは、メンバーからはぐれた穂乃果が出会う「女性シンガー」の存在がありますけど、このシーンで自分が想像したのが赤川次郎の「ふたり」とそれを大林宣彦監督が映画化した映画です。90年代の映画なんですけど、パッとしない主人公と何でもできる姉。事故で姉が亡くなってしまい、空しさにかられた主人公。ある日、危機にあった主人公の目前に姉の姿が。姉に導かれるように主人公は成長を始めるというもの。ですが、姉の姿は主人公の心中に隠れていた自己が、姉の姿となって現れたもので、それが自分を成長させていたという物語です。
 この女性シンガーは、はぐれた穂乃果を仲間のもとに導くだけじゃなく、帰国後も穂乃果の迷いにさりげなく示唆を与えるという存在です。でも、他のメンバーはそれが見えない。そこが重なったんですね。気持ちの中では歌いたい気持ちはあるのでしょう。
 
 3次元のアイドルの物語ならば、メンバー個々のバックグラウンドとか、リアルさも必要なのかもしれません。けれど、一時期「残酷ショー」とまで言われた3次元のアイドルの物語を、この映画に求めるのは別にした方がいいのではないかと考えます。「ラブライブ!」自体、それはアニメだけじゃなくて声優が歌うμ'sのコンサートも含めてですが、アイドルを題材にしたファンタジー、と捉えてもいいんじゃないかと思っているので、自分は舞台の上に現れたものを楽しめば、それでいいのだと思っています。
 正直なところ、もう一度見たい。そんな気持ちがあります。純粋に楽しくなったのです。