後藤真希主演「松本清張スペシャル 指」
原作は既に読んだのですが、大きく設定が変わっているので、それほど影響はないと思っていたんです。
原作だと30ページ程度の短編なので、「犬を殺した」ということがあって、そこから偶然が偶然を呼んで、一気に過去の事件とのつながりが浮上するという仕掛けの妙を味わうことが出来るんです。
一方、今回のドラマだと、むしろ「成り上がりたい」という人の欲望と、虚飾によって築かれた栄誉は、ふとしたきっかけで崩れてゆくという、誰であれ当てはまる人の哀しい性が強調されてきていて、そこが今の世相、もしかしたらハロプロ界にも当てはまるところもあるかもしれない、そんな感じを受けました。
さて、ごっちんですが、これはかなり良かったんじゃないでしょうか。
最後の方、つまり「虚飾の人生」がバレて、リポーター(星野真里)を追うところだけが、僕らが良くイメージするごっちんの口調で、それ以外はほとんど女優モードと思いました。もっとも、宣伝時にあれほど強調された絡みは思ったほどでもなかった感じも受けましたが。原作のせいもあるんですけど、テーマ的にはかなり深いものがあると思いますけど、そこをうまくやり切ったんじゃないだろうかと想像できます。病気の影響はあったかどうかはわかりませんけど、とにかく無事にクランクアップまでやり遂げられて、こういう作品でもやれることが示せただけでもいいのではないだろうかと。NHKでやった「R.P.G.」の時も思ったんですけど、ごっちんには等身大のイメージの役よりも、こういった役のほうが相性がいいのかもしれないですね。なんだろう、外部の舞台とかでも出てほしいです。ソロコンに行ったことがないので、どういうものなのかわかりませんが、歌手の枠だけにとどめておくのはもったいない気もしてきました。
原作はこちらです。今ならドラマ仕様の帯付きで買えるかも*1。
- 作者: 松本清張
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1982/07/27
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舞台での芝居のシーンに文麻呂様を想像した人間は多分僕だけではないはずだ。
*1:僕はその前に古本屋で買いましたが