「銀の匙」の意外なつながり、の話。

灘中の伝説授業が復活 3年かけ「銀の匙」熟読 98歳の元教師

 明治・大正期の小説「銀の匙(さじ)」という話を中学3年間かけて読み込んだ国語の授業が今月18、25日に全国有数の進学校、私立・灘中学校(神戸市)で27年ぶりによみがえる。

 授業はかつての同校の国語教師、橋本武さん(98)が考案。教科書を一切使わず、「銀の匙」の文庫本1冊と手作りのプリントで展開、橋本さんは「伝説の教師」と呼ばれた。今回も題材は「銀の匙」。その日を心待ちにする橋本さんは「どんな授業になるか、ワクワクしている」と話していた。
http://sankei.jp.msn.com/life/news/110613/edc11061312000000-n1.htm

 この「銀の匙」。
 実は意外なきっかけで自分は手にしました。
 今年の2月、新宿のジュンク堂書店にて、早見あかり(あかりん)が表紙になった角川文庫を並べた棚を作った人がいて、それを見に行ったことを憶えていられる方もいるかと思うのですが、そのあかりんが表紙になった角川文庫の一つ、それが「銀の匙」です*1
 しかしながら、明治・大正期の小説ですから、現代の小説のようにサラサラとは読めないんですね。どうしてもつっかえつっかえになりそうで、まだ自分も読了できていません。
 灘中の授業は3年間ずっと同じ先生が担当するのでしょうか、記事だとそんな感じですが、3年間かけて1冊を読み込むっていうのも、すごい授業のやり方だと思うのです。どうしても評論・随筆・小説・漢字、古文だってやるかもしれませんし、そういうものを次々に読んでいくのが国語の授業だと思っていたのですが、1つの物語の深い深い海のように深いところまでダイビングするかのような読み込みというものは、一体どういうものなのだろうか、体験してみたいものだと思います。
 現代、特に自分がビジネス書を担当するようになった頃から、速読でたくさんの本を読むことが重要であるといった、脳科学のような思考法が叫ばれるようになったと記憶しています。もちろん、それはできると重要な武器になると思うのですが、その逆もまた真なり、というこの授業も考える力がつくんだろうなって思います。
 何事も徹底するっていうことが大事なのかもしれません。

 ちなみに、角川文庫の「銀の匙」をamazonで検索すると、表紙画像はあかりんではなくなっています。「あかりんの棚」の企画者様によると、もうすぐ今年の「角川文庫夏の100冊」が出る頃で、そのイメージモデルが別の人になってしまうと、あかりんのカバーをかけた「銀の匙」は店頭から姿を消す可能性が大きいとのことです*2。そうなると、もう取り寄せもできなくなります*3
 もし店頭で見つけたら、迷わずに押さえておくのが得策かもしれません。

 ではまた。

*1:あかりんが表紙カバーになった他の作品には赤川次郎三毛猫ホームズの推理」、三島由紀夫「不道徳教育講座」、川端康成伊豆の踊り子」、林真理子「葡萄が目にしみる」、ヘルマン・ヘッセ車輪の下に」がある

*2:店が在庫を入れ替えるため

*3:角川書店がカバーを新しいものに掛け替えるため。昔のカバーを指定して注文することはできませんのでやめましょう